こんにちは、マルラバです。
僕の仕事は宇宙開発のエンジニアですが、今日はその仕事にどうやって就いたのかを説明したいと思います。
なかなかレアな仕事なので、高校生や大学生で興味のある方もいらっしゃると思います。
宇宙開発の仕事とは
宇宙開発と聞いて普通の人が真っ先に思いつくのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)ですね。
もう少し詳しい人なら、三菱重工業やIHI、三菱電機、NECとか。
または、天文学者や宇宙物理学者といった宇宙そのものを研究する仕事をイメージする人もいるかもしれません。
宇宙の仕事は、大きく分けて工学系と理学系の2つがあります。
工学系はロケットや人工衛星、宇宙探査機等を開発し、宇宙に打ち上げる仕事です。
理学系は天文学や宇宙物理学といった、宇宙の成り立ちや構成、星、水や生物の存在等、広く研究する仕事です。
僕は工学系出身でロケットの開発をしていますが、大学時代に人工衛星の開発もしていたので、両方の知識があります。
どこに就職すれば良いか
宇宙開発を主体的に行える日本の組織は、かなり限られています。
昔であれば、JAXAを頂点として、ロケット系であれば三菱重工業とIHIエアロスペース(IHIの子会社)。
衛星系であれば、三菱電機(宇宙関係の人はメルコと呼ぶことが多いです)、NECスペーステクノロジー(NECの子会社)。
これで大体全てでした。
厳密に言うと、川崎重工業や日本飛行機(川崎重工業の子会社)等でロケットの部品を作ったりはしていますが、ロケットや衛星全体を開発できると言うと、上記の5社ですね。
しかし、最近では宇宙開発系のベンチャー企業がたくさん出てきています。
・インターステラテクノロジズ:ご存知ホリエモンこと堀江貴文さんの作った小型ロケット開発企業ですね。
・アクセルスペース:小型衛星開発メーカー。東大でCubeSatと呼ばれる超小型人工衛星を作っていた人たちが創業した企業です。
・アストロスケール:宇宙デブリと呼ばれるロケットや衛星の残骸を無くすことをミッションとしている小型衛星メーカ。
・BDエアロスペース:スペースプレーン(宇宙往還機)を開発中のメーカー。
・SPACE WALKER:こちらもスペースプレーンの開発を行なっているメーカー。九州工業大発のベンチャー企業。
・ALE:人工流れ星を作ろうとしているメーカー。
・インフォステラ:衛星地上局のシェア(共同化)を進めている企業。
・ispace:google主催のLunuar X Prize(月面上でローバーを走らせることを競う)に参加していたメーカー。
有名どころはこんなもんですかね。
ベンチャー系の企業は、メーカーからの転職者が多いイメージですが、新人でも全然チャンスはあると思います。
大学院で工学系の修士号を取る
宇宙関係の仕事をするためには、まずは、大学院で工学系の修士号を取りましょう。
修士号というのは、大学の学部を卒業した後に、大学院の修士課程(2年)で学び、修士論文を提出すればなれます。
おすすめの学部・専攻は航空宇宙工学科ですね。
私の職場を見渡しても、圧倒的に航空宇宙工学出身の人が多いです。
航空宇宙工学:5割、機械工学:3割、電気・電子工学1割、その他:1割といった感じです。
①そもそも宇宙開発の仕事を目指す人は、高校時代からそれを目標にしている人が多いため、航空宇宙工学科に入る可能性が高いのと、②特にメーカーの場合は宇宙開発関係以外の部署も多いため、人事担当者は学科の名前だけを見て、宇宙開発系の部署に配属させるということが多いのかなと思っています。
お勧めの大学
職場で一番多いのは、圧倒的に東大ですね。
最近の新人は3人のうち1人が東大といったイメージです。
次いで、京大。
あとは、東工大、東北大、北大、阪大、名大、九大、首都大、九州工業大、静岡大、東京農工大、早大、慶應大、日大、東海大あたり。
偏差値的には以下のようです。
いつの間にか、名大や東北大は阪大よりも偏差値が高くなっているのにビックリしました。
国公立大学 | 学部/学科 | 偏差値 |
東京大学 | 理科一類(工学部 航空宇宙工学科) | 72 |
京都大学 | 工学部 物理工学科 | 70 |
東京工業大学 | 工学部 機械宇宙学科 | 69 |
名古屋大学 | 工学部 機械・航空宇宙工学科 | 67 |
東北大学 | 工学部 機械知能・航空工学科 | 66 |
大阪大学 | 工学部 応用理工学科※ | 64 |
九州大学 | 工学部 機械航空工学科 | 64 |
東京都立大学 | システムデザイン学部 航空宇宙システム工学科 | 64 |
北海道大学 | 工学部 機械知能工学科 | 63 |
東京農工大学 | 工学部 機械システム工学科 | 61 |
九州工業大学 | 工学部 宇宙システム工学科 | 56 |
静岡大学 | 工学部 機械工学科 | 56 |
私立大学 | 学部/学科 | 偏差値 |
慶應義塾大学 | 理工学部 機械工学科 | 69 |
早稲田大学 | 基幹理工学部 機械科学・航空宇宙学科 | 69 |
東京理科大学 | 工学部 機械工学科※ | 66 |
日本大学 | 理工学部 航空宇宙工学科 | 59 |
東海大学 | 工学部 航空宇宙学科 | 53 |
※:阪大と慶應大には航空宇宙系の学科はありませんが、宇宙業界では出身者をたまに見かけるので入れました。
(出典):Toshin.com https://www.toshin-hensachi.com/?line=2&university_type=21
まぁ、入れるのであれば、東大か京大が良いです。
だけど、普通の人はそんな難しいところに入れませんよね。
ましてや、東大や京大の航空宇宙系は工学部の中でも成績の良い人しか行けません(入学後の振り分けがあります)。
コスパの良い、お得な大学はないのか?ってなりますよね。
あるんです。
2年に1回ぐらい、コンスタントに入社してくるコスパの良い大学、それは九州工業大です。
偏差値は56だそうです。
工学部の宇宙システム工学科というところに入ってください。
僕の時代は、機械知能工学科の宇宙工学コースという名前でしたが。
まぁ、お得な大学だと思います。
大学院で東大を目指すのも良いですね。
学部から入るよりは10倍簡単なのでお勧めです。
ちなみに、私立は東海大までです。
それよりも偏差値の低い大学にも航空宇宙工学科はありますが(帝京大とか)、そこの出身者を見たことがないのでお勧めしません。
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